昔の私は、どこへ行くのも怖くありませんでした。
海も、街も、高速道路も、ただの「場所」でしかなかったのです。
けれど、いじめで深く傷ついてから、私の世界は変わりました。
うつ病になり、外に出ることそのものが怖くなったのです。
車に乗るだけで、心臓がドクドクと強く鳴ります。
「事故を起こすかもしれない」
そんな映像が、勝手に頭の中に流れ込んできます。
高速道路になると、その恐怖はさらに強くなります。
脳みそが焼けきれそうなほどの不安。
実際に一度、パニック発作を起こしたこともあります。
それ以来、高速道路は避けるようになりました。
でも、怖いのは車だけではありません。
海に行けば、「津波に巻き込まれるかもしれない」と思う。
街を歩けば、「ガラスが降ってくるかもしれない」と感じる。
高い場所にいれば、「地震で崩れるかもしれない」と想像してしまう。
どこにいても、「危険」が頭の中に現れて、汗が止まらなくなるのです。
頭ではわかっています。
今すぐ何かが起きるわけじゃない、と。
それでも、体は勝手に反応してしまう。
そんなとき、私はある言葉を思い出します。
「ここに体はある」
そして、「またこんなことを考えているな」と気づくこと。
不安を消そうとするのではなく、
「今、不安になっている自分」に気づくだけ。
それだけで、不思議とほんの少しだけ、呼吸が戻ってきます。
怖さは、なくならないかもしれません。
でも、怖さに飲み込まれ続ける必要はない。
私は今日も、完全じゃないまま、
不安と一緒にここにいます。
そして確かに、「ここに体はある」のです。



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